寮でのひととき 〜Before〜

Written by 後藤輝鋭


「めぐみ、痛くないか?」
「もう大丈夫だってばぁ…。す、すごく、…すごく気持ちいいんだからぁ…」
「そうか…。じゃあ、もっと動くぞ」
 浩一がめぐみをしっかりと抱きしめて動き、結合部から潤滑の液が漏れ出す。ふたりが中で擦れあって、もっと気持ちよくなっていく。
「あ、…はぁ、…あん…」
 めぐみから小さく、切ない声が漏れる。AV女優みたいにわざと出しているわけでなく、自然に出てしまうその声を抑えようと、めぐみも顔を真っ赤にして我慢するが、それでも声が小さく出てしまう。その顔が、ものすごく健気でかわいい。いつも寮でこっそりとしているので、大きな声を出すわけにいかない。一応、鉄筋コンクリート造り3階建ての比較的新しい寮でも、声を出したらマズイことに変わりはないのだ。でもいつか、我慢させずに好きに声を出させてあげたいし、その声も聞いてみたいと思いながら、浩一はめぐみの唇を自分の唇でふさいだ。
「んっ…、んっ…、んんぅっ…」
 ふたりがひとつのリズムで同調し、快感がからだ中を一気に駆け上がって行く。ふたりの動きも激しくなり、結合部から発せられるぐちゅぐちゅという音もより大きくなっていく。
「め、…めぐみっ」
「う、…こ、こう、…こういちぃぃっ…」
 浩一の欲望が爆発し、モノが激しく脈動する。それとともに、めぐみも頭の中がなにも考えられなくなるほど真っ白になっていく。
「あっ…、くっ…」
「あぅぅんっ…、ふ、…あ、…はぁ」
 これ以上にないくらいの快感を全身で感じる。めぐみはしばらくの間、浩一のモノを締め付けつづけていたが、やがてやんわりと解いていく。浩一のモノも、それと共にゆっくりとしおれていった。
 それでも、ふたりは肩を使うほどの荒い息をして、浩一もめぐみも、頬を汗が伝っている。
「…はぁ、…はぁ、…めぐみ」
「う、…うん、…こういち」
 ふたりが繋がったままキスをして、甘い甘いひとときを過ごす。大好きな人とえっちをするのは、なんでこんなに気持ちいいのだろうとめぐみは考えながら、浩一の体をやさしく抱きしめた。
「めぐみ…」
 唇を離して浩一がそうつぶやくと、めぐみの頭をやさしくなで、ふたりの結合を解いた。
「お、…めぐみはしばらく寝てていいぞ」
「そう? …じゃあ、お願い」
 身を起こそうとしためぐみを制止して、じっとりと濡れている部分を浩一がやさしく拭く。それを、めぐみはぽわーんとした意識の中、寝転んだまま心地良さそうに見る。経験を重ねていくと、なぜかいった後の余韻が長く残るようになってきた。これも、成長しているせいかなと、まだぼんやりとした気分でめぐみは考えた。
 浩一がめぐみに背を向けて、ごそごそと自分の後始末をする。つい最近、めぐみもお赤飯を迎えたので、浩一もきちんとゴムを付けてするようになった。というよりか、今までが無頓着過ぎたのかもしれないが。
 使い終わったゴムをゴミ箱の奥底へ沈めると、浩一はめぐみの横に再び寝転んだ。
「…えへへ」
 汗で頬に付いていた髪の毛をやさしく取りながら腕枕をしてやると、めぐみはなにかくすぐったそうに笑う。つい最近短く切った髪の毛が、活発なめぐみらしさによく似合っている。その髪の毛を優しく撫でて、まだ小さなからだを優しくいたわる。甘くてほのぼのとした雰囲気が、ふたりの間を流れた。
 7月下旬のある休みの日の午後。少しだけあけた窓から、風が入りこんでくる穏やかな夏の日。青空には夏の雲が浮かび、遠くのほうから子供の遊ぶ声が聞こえ、寮の中も静かでのんびりとした空気が流れている。浩一の同僚は昼寝をしたり、ゲームをしたりして休日を有意義に過ごし、寮の管理人のおじさんは管理室でテレビをのんびりと見て、食堂ではめぐみのお父さんが夕方の仕込まで一休みと言う感じで、テレビの前に置いてあるソファに寝転がって新聞を読んでいる、そんな平和な日。午前中、いつもの様にめぐみが遊びに来て、お昼にふたりでちょっと出かけた後、帰ってきてそのまま、こんな感じの、平和で幸せな休日。
「ね、浩一。明日ヒマ?」
 屈託のない、めぐみのいつもの口調。浩一に対して上手でも下手でもない、対等な感じのタメ口で話してくるしゃべり方。その話し方に浩一は気が障るわけもなく、いつも通りタメ口で、かつやさしく接する。
「あ、悪い。オレ、明日は夜勤なんだよ…。夕方から仕事」
「えー、せっかくの日曜日なのに?」
「悪いな。…工場がさ、ラインひとつ止めて点検してる時に、大量に受注されちゃってさ。今、休日出勤と夜勤で対応してるもんだから」
「そっか、…わかった」
 ちょっと残念そうな顔をするめぐみ。
「ごめんな。一緒に遊べないで」
 めぐみの顔を見て、浩一は詫びるように言った。めぐみがタメ口でしゃべるのを、浩一は寮に入ったばかりの頃こそ気になったが、今となってはちっとも気にしてはいない。活発なめぐみらしさが出ていて、変に敬語を使ったりするよりかはいいと思っている。
「でも、午前中で良かったら一緒にいられるぞ」
「うん、ありがと。じゃあ、午前中だけ来るね」
 めぐみがにこっと微笑んで、浩一も少し安心する。明日の夜勤は夕方16時から仕事始め。翌朝9時に明けるという業務なのだ。ちょこちょこ休憩は入るが、それでも夜は眠くなる。だから、昼を過ぎたら少し仮眠しないと夜ものすごくキツイし、仕事の1時間前には出勤しておきたい。でも、どうせ工場まで歩いて5分もかからないのだし、昼前までなら一緒に遊べる。それに、昼寝しててもめぐみに起こしてもらうなんていう裏ワザだって使える。
「そういえば、浩一っていつから夜勤しはじめたんだっけ?」
「んー、…今年の2月くらいじゃなかったか?」
「浩一って、けっこう夜勤してるよね」
「そうかぁ? そもそも、ウチの工場で夜勤てのは、普通ないことなんだからな」
 浩一の勤めている工業製品メーカーの工場は、基本的に日勤、つまり朝始まって夕方終わる勤務で動かしている。基本的に製造と定期メンテナンスを行っているのだが、たまに故障や修理などで運ばれてきたものを、夜のうちに直して再び送り出したり、ラインや工程の都合上夜勤せざるを得ないことがある。今回みたいに、ラインが定期点検や故障などで止まっている時に、突発的な発注を受けて日勤で対応できなくなると、夜勤が発生したりするのだ。
「だいたいな、めぐみが日中オレの部屋に来るっつ〜事は、休みの日か夜勤明けの日のどっちかなんだからな」
「あははは、それもそうだね」
 めぐみが笑って言う。こんな笑顔を見ると、まだまだ子供の顔なのだが、いかんせん全裸というのが妙なバランスだ。
「オレが夜勤明けで寝てる時に、めぐみが部屋に入ってきてゲームやったりするだろうが」
「浩一だって、夜勤明けで寝てたくせにいきなり胸触って来たりするよ」
 浩一が言ったことにめぐみも反論する。それを聞いて、ふたりでくすっと笑う。
「ま、めぐみは単なるわがままだけど、オレは本能だしな」
「よくわからないんだけど…」
 ワケのわからん理論を言って、めぐみが頭をひねる。
「でも、浩一に胸触られるのはいいけどね。けっこう気持ちいいから」
 あっけらかんと言うめぐみ。こういうオープンさが、けっこうめぐみのえっちな素質を表しているのかもしれない。もちろん、こんなオープンさも浩一の前でだけだが。
「よっしゃ、じゃあまた触ってやろうか?」
「さっき散々触ったくせにぃ」
 そう言って、何かいじわるな表情でめぐみが胸を隠す。
「うりゃー、触らせろ〜」
 浩一も悪乗りして、めぐみを軽く抱きしめたりしてじゃれあう。
「わー、だめだよー!」
 めぐみも笑いながら、悪乗りに乗る。
「じゃあ、条件!」
「なに?」
「今度、また何か買ってくれたら触らせてあげる」
「おいおい。そんな条件出したら売春と同義になっちまうぞ」
「えへへへ。冗談だよ、冗談」
 めぐみがくすっと笑うと、浩一も胸を触ろうとしたのをやめた。そしてふたたび、ふたりがのんびりとした空気に浸かる。
「そういえば、最近竹井さん見ないけど、どうしたの?」
「竹井? あぁ、あいつ1ヶ月間の予定で本社に長期出張行かされた。来週末には戻ってくるらしいけど」
「ふうん。お父さんが、ごはん特盛って言う竹井くんが来ないから心配だって言ってたから」
「ふははははは。まぁ、しゃあねえな。そう言っといて」
 一応寮の看板娘でもあるめぐみのこと、かわいがってくれる寮生は多い。まぁ、いちばん仲が良いのは浩一に違いないし、寮生の中でもその程度は周知の事実になっている。それを茶化す先輩や同僚もいるが、こういう関係のめぐみのこと、その茶化しが「はずれ」じゃないから困るのだ。
「なんだか、最近いつも浩一と一緒にいるようなイメージがあるんだもん」
「いつも一緒にいるような気がするけどなぁ、オレ…」
 休みの日どころか、仕事を終えて帰ってきた浩一が食堂に現れ、食事を終えるとめぐみも大抵一緒にくっついてくる。四六時中と言われても、間違いではないかもしれない。
「だから、最近はいっつも窓から入ってきてるよな」
「うん。一応、気を使ってるから」
 めぐみをかわいがってくれる寮生も多い反面、うざったいと思う人もいるのだ。それに、あんまり寮内をうろうろするのも、年頃のせいか最近はちょっと気が引けてきたのもある。
「そもそも、めぐみがここから入ってきた理由ってなんだったっけ?」
 ベランダを指して浩一が聞く。
「最初はね、単なる近道。うちからまっすぐ来れるんだもん」
 めぐみ一家が住んでいる家から浩一の部屋までは、寮の中庭を挟んですぐなのだが、きちんとしたルートで来ようと思うと、食堂の勝手口から入って、ロビーを抜けて階段を上らなきゃ行けない。それに対して、雨樋を足場にしてロッククライミングすれば、一直線で来れる。
「よくこんなところ登ろうとしたな」
「えへへ。だって、登れそうだったんだもん」
 雨樋を固定するところを足場にすれば、確かに簡単に登れそうだ。しかも、浩一の下の部屋も隣室も、今のところ空き部屋と言うのも都合がいいだろう。
「それにね、こんなことしてるから、ここから入って来るんだよ」
 ふたりだけの秘め事。今の関係は、一応ふたりだけの秘密なのだ。同僚から「おまえはめぐみちゃんと出来てる」なんてよく言われる。まぁ、親しいやつは薄々気付いているみたいだが。
「けっこう、夜勤明けですることって多いよな」
「えへへ。人が少ないもんね」
 寮でするリスクと言うのはけっこう高い。時々、めぐみの家ですることもあったりするんだが、めぐみの弟がいたりして使えることが少ないから、浩一の部屋が断然多い。でも、めぐみも年頃で寮によりつかなくなるだろうから、そろそろホテルにでも連れていこうかな、と最近思っている。ホテルなら、思いっきり声出してもいいし、その声も聞く事が出来る。
「あ、でもね。わたし、浩一が夜勤の時ってけっこう思い出が多いんだよ」
「…ふむ、そうかもな」
「…はじめて浩一とえっちした時、…覚えてる?」
「おう、当たり前だ。今でもしっかりと覚えてるけどな」
「あれも、夜勤明けの日だったでしょ?」
「あぁ、そうだな…」
 5月も終わりのころの、土曜日のこと。前日に日勤のつもりで出勤して、午後に突然故障修理対応と言われ、夜勤する事になった。真夜中に届いて、それを急いで修理。明け方には完成試験まで終えて送り出すというスピード作業だった。そして眠い目をこすりながら5分歩いて寮に帰ってきて、そのままバタンキューで寝ていた。
「んで、いつも通りめぐみが来たんだよな」
「うん。一緒に遊びたいから、起こしにいったんだよね」
 7時ごろに寝始めたのに、8時過ぎにめぐみが起こしに来たのだ。真夜中に汗水たらして一生懸命仕事を終えて帰ってきて、せっかく至福の睡眠を味わっていたのに、起こされたんじゃたまったものじゃない。
「あの時、めぐみがあんまりにもわがまま言うからなー」
「だって、一緒に遊びたかったんだもん」
 さっきも書いたが、寮でめぐみといちばん仲が良いのが、浩一だ。今でこそ表面でも内面でもものすごく仲はいいのだが、前は表面だけだった。ほんの1年ちょっとしか経っていなかったが、一緒に遊んだり、浩一の部屋でゲームをしたりとしていた。ただ、この時のめぐみの言い様と言ったらしつこく、浩一は正直腹が立ったのだ。
「怒鳴ったよな、確か」
「うん、ちょっと恐かったけどね」
 しかしながら、怒鳴ってしまうと後味が悪く、逆に眠れなくなってしまう。眠たいのだが、何か精神的にもやもやした気持ちがあって眠れない。そんな時に、めぐみが謝ったのだ。ほんのひとこと「ごめん」と。そして浩一も、素直に「怒鳴って悪かったな」と言って、その場は治まった。
「で、オレが昼過ぎに起きるまでずーっとそばにいたんだったよな」
「うん。…悪い事しちゃったなって思ったから、そばにいたんだよ」
「ずっと起きてたのか? 何時間も」
「ううん。浩一の寝息聞いてたら、わたしも眠くなっちゃったから、ちょっとだけ寝たよ」
 そして、昼過ぎに目が覚めると、めぐみが浩一の枕もとにいて、ちょっと神妙な顔をしていた。
「その時にも、また謝ったよね」
「あぁ。オレは、もう別に気にしてなかったけどな。めぐみが、あんな事言うからな」
 わがままばっかりでごめんね、とめぐみが謝った。浩一は、もう許していたのだが、めぐみの気持ちの中にそういかない部分があったのだろう。もういいから、と浩一は言ったが、次にめぐみが気持ちを言ったのだ。
「今でもあの言葉、覚えてるけどな〜」
「わー! 恥ずかしいから言わないでよ!」
 めぐみが瞬間顔を赤くして、浩一に言う。


「浩一が好きだから、…浩一の事が好きだから、わがまま言っちゃうんだよ」
 その言葉を聞いた時、浩一は突然の告白にドキッとしてしまった。「好き」の意味が簡単に言えるような、軽い意味じゃない事は、考えずともわかった。
「わたし、浩一が邪魔だって思うんなら、…もう来ないようにするから。…だから、ごめんね…」
「…めぐみ、オマエな。…オレは、めぐみが邪魔だなんて思ってないからな…」
 たぶん、1年間めぐみとたくさん遊んでいく中で、まだ幼いながらも、大人としての成長課程にあるめぐみの気持ちを、浩一はなんとなく気付いていた。浩一自身にそんな気はなかったはずなのに、いつのまにか、めぐみをひとりの女の子として意識していたのは、認めざるをえなかった。
「オレは、めぐみとこれからもずっと遊んでいきたいし、一緒に仲良くしていきたい。別に、これからも部屋に来てもらっていい。…むしろ、気にせず今まで通り来てほしい」
 うつむき加減のめぐみの顔を、上に向かせたのは、浩一の気付いていた気持ちを素直に表した事だった。
「たぶん、オレも知らないうちにめぐみを好きになってたと思う。だからさ、…別にわがまま言っても、オレは構わない。むしろ、…わがまま言って欲しい。めぐみが好きだからさ」
 めぐみが顔を上げて、すこしだけ驚いたような表情を見せる。そして、はにかむように、うれしそうな表情を見せた。
「わたし、…浩一にわがまま言っていいんだね?」
「あぁ」
 浩一はひとことそう答えると、めぐみをベッドの上にあげて、そっとキスをした。どきどきとしているめぐみの気持ち。同じように、浩一もドキドキしていた。そんな趣味はなかったつもりなのに、いつのまにかめぐみのことを好きになっていた。まぁ、年の差なんて関係ないか、と思いながら、浩一は自分の気持ちに素直になった。
「はぁ…、浩一」
「…今の、…ファーストキス?」
 浩一が聞くと、めぐみはこくんとうなづくだけ。顔を赤くして、恥ずかしそうに笑っている。
「…大好き」
「あぁ、…オレも大好きだ」
 もう一度ふたりが唇を重ね、互いの気持ちを確かめ合う。ふたりともうれしくて、唇をつなげたままいろいろな事を考えていた。
「…ね、浩一。…わがまま、…言っていい?」
「…オレの出来る事なら、いいぞ」
 浩一がそう言うと、めぐみはひとつ息を飲み込んで、言う。
「…えっちしたい。…浩一と」
 めぐみからそんな事を言われて、浩一もドキンとする。でも、今はめぐみがまだ子供だなんていうことは忘れ、素直にその気持ちを受け入れる。そして、自分の気持ちにも素直になる。ひとりの女性として、めぐみをそっとベッドの上に寝かせた。
「めぐみ、…脱がすぞ」
「うん…」
 Tシャツの裾に手を入れて、するするっと脱がす。もう5月も終わりになるとTシャツ1枚でも十分な気温。ばんざいをしためぐみからTシャツを取ると、恥ずかしそうに腕で胸を隠した。まだブラも付けていないめぐみの胸の膨らみ。浩一は、もう一度やさしくキスをして、胸を隠していた腕を退ける。
「浩一…」
 顔を赤くして、めぐみがつぶやく。小さな胸の膨らみのてっぺんにキスをした途端、めぐみから吐息が漏れた。
「あ、…あん…」
 息のような初々しいめぐみの声。その声をもっと聞きたくなって、浩一は小さな胸に優しく愛撫をはじめる。ピンク色に染まり始めたてっぺんにキスをして、ちろちろと舌先で動かすと、すぐに固くなった。そこにキスをして、舌でやさしく包む。
「は、あ、…あん」
 ねっとりとした舌の感触がめぐみの胸のてっぺんを走るたび、小さな吐息がめぐみの口から漏れてくる。片方の胸を唇と舌で愛撫しながら、もう片方は手でやさしく揉む。まだ発達途上の小さな胸。壊れそうなほど柔らかなそれを、大切に、大切にやさしくマッサージする。
「ふぁ、…あぁぅ」
 適度な所で、愛撫する胸を入れ替える。浩一の唾液で濡れた先っぽを、人差し指でゆっくりと動かす。ぬるぬるっとした感触が、めぐみに絶大な快感として伝わった。
「ひ、あぅ…」
 自分の小さな胸に吸いつく浩一を見て、めぐみにうれしさがこみ上げてくる。あんなにわがままな事をしたのに、こんなにも自分を愛してくれる浩一。そう思うと、自然と、瞳に涙があふれてきた。
「めぐみ…」
「えへ、…なんだかうれしいから」
 照れ隠しに微笑んで、瞳の涙を指でぬぐう。浩一は改めてめぐみにやさしくキスをすると、頭からそっと抱きしめた。
「オレのこと好きになってくれて、ありがとな」
「うん。…わたしも、…わたしも、わたしのこと好きになってくれてありがとね…」
 ふたりが見詰め合ってくすっと笑い、ちゅっとキスをする。
「下、…いいよな」
「…うん」
 今度はめぐみのほうから浩一を抱きしめて、キスをする。浩一の体がめぐみの手から離れると、浩一の手がめぐみのキュロットにかけられた。めぐみ自ら腰をあげると、キュロットをゆっくりと擦り下ろす。薄いピンク色をしたパンツ一枚のめぐみ。その姿を改めて見ると、浩一は生唾をごくっと飲みこんだ。
「…めぐみ、…全部、…いいか?」
「…浩一も、…浩一も脱いでくれるんだったらいいよ…」
 恥ずかしくって、消え入りそうな声で言うめぐみ。浩一はこくんとうなづいて、Tシャツとハーフパンツを脱ぐと、めぐみのほっぺたにキスをして、パンツに手をかけた。
「うん、…いいよ」
 めぐみが腰を上げて言うと、浩一はするするっとパンツを脱がした。そして、脚をそっとM字型に開く。産毛しか生えていない恥丘から、一本の筋がすっと降りてきて、下の方で少しだけ口を開いている。その下にある、すぼまった穴さえも、ピンク色に染まっていた。脚を開いてもほとんど閉じたままのスリットに、浩一はものすごく興奮する。
「や、…やだ。…そんなに、…そんなにじっと見ないで」
 いつも元気で活発な女の子が、消え入りそうなほど小さな声で浩一に言う。自分でさえ直接見れない所を、大好きな人に大胆なほど見せているのだ。恥ずかしくて恥ずかしくて、もう泣いてしまいそうなほど顔が赤くなっている。
 浩一が秘部に顔を近づけて、閉じたままのスリットを指で割開く。
「んっ…」
 めぐみがかすかに声を上げる。割開いたスリットの上の方に、小さな芽が少しだけ顔を出している。そして、呼吸するように小さく口を開いている秘部の奥には、キラキラとした流れも見えた。
「んふぁ、…あっ」
 指で芽をやさしく動かすと、その指の動きとともにめぐみが声を上げる。それとともに、秘部から流れ出すものも、少しずつ増えていく。
「あ、ふぁ、…は」
 指先でくにゅくにゅと押したり、円を描くように回したり、やさしく撫でたりする。そのたびに、初々しい甘美の声を上げて、めぐみの快感が高ぶっていくだけでなく、浩一を興奮させていく。
「ひぁ…」
 小指を秘部にゆっくりと入れてくにくにと動かす。はじめての感覚に、ちょっと戸惑い気味のめぐみの表情。
「めぐみ、痛いか?」
「ううん、…痛くないよ」
「そっか」
 まだ入れるには早過ぎるだろうなと思い、もっとめぐみを気持ち良くさせようと、秘部にそっと口をつける。
「や、…そ、そんな事までしなくていいよ」
「だめか?」
「だ、…だめじゃないけど、…きたないから…」
「別にいい。めぐみだから」
 浩一はそう答えると、スリットから顔を覗かせている芽にくちづけをした。
「ふわ、ふわあぁん…」
 部屋中に響いたようなめぐみの声。浩一もおもわずびっくりしたが、それ以上にめぐみ自身も顔を真っ赤に染め上げて驚く。
「こ、こういち、…ごめん」
「めぐみ、…そんなに感じちゃったか?」
 浩一が聞くと、めぐみは恥ずかしそうに顔を染めたまま、こくんとうなづく。
「指、噛んでな…。寮だから、…あんまり大きな声だしちゃダメだぞ…」
 めぐみがこくんとうなづくと、めぐみの指を口まで持っていき、そっと噛ませてから愛撫を再開する。
「んむぅぅ…、んっ、んっ…」
 はじめて感じる、ねっとりとした感触にめぐみの快感も頂点まで高ぶる。自分の指を噛む力も思わず強くなり、からだ中にびりびりとした快感が伝わる。指を噛んで快感に浸るその姿が、ものすごくかわいく見える。
「んひっ…、んんんっ…、んむぅぅ…」
 浩一が芽に吸い付いて、ちゅうちゅうと吸うたびにめぐみがぴくん、ぴくんと動く。おでこやからだから汗が流れ始め、もう絶頂も近いかもしれない。浩一はそう思って、指も使って秘部全体を愛撫する。とろとろと流れ出ている液を芽へと擦り付け、舌で舐め上げる。
「んふっ、んむぅ、んひ、んんんっ…」
 指を噛みつづけたまま声にならない声を上げ、めぐみがぎゅっと縮こまる。
「…んんっ、んくぅぅぅ……。…はぁ、…はぁ、…はぁ」
 汗を流しながら荒い息をするめぐみ。口から指を離して、うつろな目線でどこかを見つめている。
「いっちゃった?」
「…うん」
 全裸でベッドに横たわったまま答えるめぐみ。その姿を見て、浩一も我慢できなくなる。
「めぐみ、…いいか?」
「…うん、…いいよ」
 浩一の目を見つめためぐみが、意味を察してこくんとうなづく。
「初めて、…だよな」
「…うん」
 期待と不安の入り混じった顔をするめぐみ。その不安をなるべくやわらかくしてやろうと、浩一がやさしく抱きしめる。
「痛かったら、痛いってはっきり言ってくれ。どうしてもだめだったら、遠慮せずに言っていいから」
「うん…」
 浩一のやさしさを感じながら、めぐみからキスをする。そして、唇が離れて、全裸になった浩一が、モノをめぐみの秘部に添えつける。
「いくよ」
「うん、いいよ…」
 めぐみの呼吸を見計らいながら、タイミングを待つ。そして、めぐみが息を吸いきったところで、腰を突き出してモノをめぐみの中へと挿入した。
「あぅぅっく…」
 ほんの少しの抵抗のあと、ずぶっとモノが中へと飲みこまれた。顔をぎゅっとしかめて、すごく痛そうな顔をするめぐみ。その表情を見て、浩一も思わず突き入れる動作を止めてしまう。
「めぐみ、痛い? 止めるか?」
「い、…痛いけど、…や、…止めちゃいや…」
 息も絶え絶えに、途切れ途切れで言うめぐみ。ものすごく苦しそうだけれど、それに一生懸命耐えようとしている。
「ぜ、…全部。…全部入れていいから」
 浩一に心配をかけまいと、一生懸命に笑顔を作ろうとするめぐみだが、それでもその笑顔がものすごく苦しそうに見える、悲痛な笑顔。けれど、今止めてしまっても、めぐみには非情になるだろう。
「よし、…全部入れるぞ」
 まだ半分程度しか入ってなかったモノを、さらに突き入れる。
「はぁぁぅぅ、…くぅぅん」
 めぐみの抵抗を押しのけながら、モノを飲み込ませていく。あとちょっとで全部というところで、先端が何かに当たった。
「めぐみ、…全部、…全部入ったぞ」
 ぎゅうぎゅうと締めつけてくるめぐみの中。からだが、始めて入ってきたものに対して必死に抵抗する。
「うん、…浩一。…浩一。…好き、…好きぃ」
 苦しそうな表情のめぐみが、浩一の名を呼ぶ。浩一も繋がったまま、そっとめぐみを抱き寄せてキスを続ける。
「んんんっ…、んむぅ…、んんっ…」
 めぐみのあまりに痛々しい表情に、動くわけにはいかなかった。けれど、動かなくてもめぐみの小さな中がきゅうきゅうと締めつけてきて、浩一に快感として伝えていた。
「めぐみ、…オレも、…オレも好きだ。大好きだ…」
「こういち、…こういち。…大好きだよぉ」
 ふたりが抱き合ったまま、互いの愛を確かめ合う。心の中が暖かくなって、浩一もめぐみも、幸せな気持ちでいっぱいになってくる。
「めぐみ、…オレ、…もう、…めぐみ」
「う、うん、…浩一。…いいよ、わ、…わたしの中で」
 めぐみの締めつけと、暖かな気持ちでものすごく気持ちよくなる。浩一がめぐみをきゅっと抱きしめるとともに、めぐみも浩一をしっかりと抱きしめる。
「あっ…、め、…めぐみ」
 浩一がつぶやくように言った瞬間、めぐみの中に浩一の白いものが出されていく。
「こういち、…こういち。…好きだよ」
 浩一のモノの脈動を感じながら、めぐみは何度も何度も、浩一の名をつぶやいた。


「今でもわがままなのは、変わんね〜な」
「そうだよ。浩一が好きなんだもん」
 めぐみの言葉に、浩一から笑みがこぼれる。
「でもよく考えれば、あの時のアレがあるから、今こうしていられるんだよな」
「へへ、そうだね」
 ふたりで裸のままベッドに横たわって、こうしてのんびりとする。ふたりだけの秘め事ではあるけれど、これが至福の時なのだ。
「あのとき、すごく幸せだったよ、わたし」
「そうか? かなりっつーか、すごく痛そうな顔してたけど」
「うん、…ものすごく痛かったんだよ。聞いてたとおりに」
 よく言われる、処女喪失は痛い、という言葉。めぐみにとってはその言葉通りの、処女喪失だったわけだ。
「でもね、…浩一がやさしくしてくれたから、すごく幸せな気分だったんだよ」
「そうか。…そう言ってくれるとオレもうれしいな」
 めぐみを抱き寄せて、うれしそうに浩一が言う。
「で、今は?」
「今は、すごく気持ちいいし、すごく幸せ。最高だよ、浩一といっしょにいると」
 満面の笑みで言うめぐみ。浩一もうれしくなって、笑顔で返す。こうも言われると、なんだか男冥利に尽きるような気もする。
「なんか、今日気分いいな…」
 浩一がそうつぶやいて、めぐみを抱き寄せる。
「昨日給料入ったからなんか買ってやる。なに欲しいか?」
「え、ホント?」
「あぁ、気分いいから、約束する」
 それを聞いて、めぐみの目がキラキラと期待に満ちた目になる。
「じゃあ、こないだみつけたワンピースの服と」
 以前ふたりで出かけたときに、めぐみがえらく気に入ったワンピースがあったのだ。水色のシンプルなワンピースだったけど、めぐみはこういうのを持ってないと言ってたから、浩一も買ってもいいと思っていた。
「浩一と一緒に海に遊びに行きたいから、新しい水着と」
 うんうんとうなづく浩一。せっかくこういう関係になったのだから、恋人らしく海に行って遊びたい。
「それと、商店街のみつみさんのケーキもいっぱい食べたいし、パフェもおいしいらしいから、1回食べたいんだよねー。それに…」
 気分よく聞いてて、浩一の頭の傾き角度がだんだん大きくなるとともに、顔をしかめてくる。
「こないだ発売されたゲーム、まだ買ってないからそれも欲しいし、あ、かわいいカバンがあったからそれも欲しいなー。うーん、あとは…」
「…なんか、相変わらずのわがままっぷりだな」
 微妙に困った顔をしながら、浩一が言う。
「えへへへ。半分冗談だよ」
「まぁ、ワンピースと水着くらいは買ってあげようか。それ着て、海行こうな」
「え、ほんとに?」
「あぁ。ワンピースを着て海に行って、めぐみの水着姿を見て悩殺されてみたいな、っと」
 ちょっとジョークを交え、浩一が言う。
「えへへ、ありがと! 浩一!」
 ぎゅんむっ、とめぐみが浩一を抱きしめて、めぐみからキスをしてくる。
「もう1回したい?」
「うん。うれしいから、浩一を気持ちよくさせてあげるね」
 まだしばらく、ふたりはほのぼのとした時間を過ごすようだった。

 おわり 


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