・「くりえいた〜」
・第9話「10月 のどかな日常」


「はぁ、…はぁ、…ひ、博樹お兄ちゃん…」
「う、うん…、あずさ、…あずさっ」
 ベッドの上でふたりが重なったまま、ぎゅっと抱きしめあう。
「ふあっ、…あぁっ!」
 あずさがひときわ高い声をあげたあと、ふたりが同時に果てた。
「……、大好きだよ、…博樹お兄ちゃん」
「うん、…オレもだ。…愛してるぞ」
 つながったまま博樹にそう言われ、あずさの顔がかあぁっと真っ赤っかになる。「愛している」なーんてこと言われたら、まだまだうぶなあずさには相当恥ずかしいのだろう。そんなあずさを見て、博樹はほっぺたにキスをした。
「うにゅ…、博樹お兄ちゃん」
「なに?」
「…ちゃんと、…ここにキスして」
 あずさが唇をにゅっと突き出す。
「…はは、うん、そうだな」
 博樹は、今度はきちんと唇にキスをした。
 後始末を終えて、しばらくベッドの上に寝転がる。枕を抱きしめて、うつぶせにごろんと寝転んだままのあずさ。上半身を起こして、ふうと息をつく博樹。
「あのね、夕方にお母さんから電話があったよ。今、カナダに居るって」
「ふうん…、カナダねぇ…」
 夏にあずさと海に行ったけど、海外にも行ってみたいなぁと博樹は思う。
「それで、なんだって?」
「博樹お兄ちゃんと仲良くしてるかって。『もちろんだよ』って言っといたから」
「うん。わかった」
 あずさの頭をぽむっと撫でる。
「そういや、籠原先生は、相変わらずなんか?」
「籠原先生? うん、相変わらずだよ」
 それを聞いて、博樹がくすっと笑う。
「どうしたの、籠原先生の話が出るなんて」
「こないだな、籠原先生とちょっと飲んだんだよ」
「あ、こないだの飲み会?」
「うん」
 あの家庭訪問以来、気があったのか博樹とあずさの担任籠原先生とは、何度かつるんで飲みに行くようになった。
「籠原先生って面白いよなぁ。いろいろ話聞いたし」
「けっこう人気あるんだよ、籠原先生って」
 あずさの学校の先生の中では、いちばん若いのではないだろうか。
「ほとんどの先生がジャージとかなのに、籠原先生はいつもきちんとした格好してるもん」
「けっこうもてるらしいしなぁ」
「そうなんだよねー。いろいろと噂もあるし」
「あぁ、それもちょっと聞いたけどなぁ…」
「ふーん、…美穂ちゃんとのこともなんか言ってた?」
「…うーむ、…言っていいんかなぁ…?」
 博樹がちょっと考える。
「ま、いっか。あずさだし。誰にも言うなよ」
 と博樹が言ってから話し始める。
「かなりすごいらしい、籠原先生と美穂ちゃんって」
「…すごい?」
 あずさが不思議そうな顔をする。
「学校でなんか、しょっちゅうしてるらしいし」
「…ふーん。…そういえば、放課後最後まで教室にいるの美穂ちゃんだもんね…」
 あずさが思い出したように言う。
「いろいろとしてるらしいし…。『上川さんには負けませんよ』とか言われちまった…」
「勝負してどーするの…」
 あずさが、ジト目で言う。
「そんな話飲み屋さんでして、変な目で見られなかった?」
「飲み屋なんだから、周りの人間は気にはしな…、あ…」
 博樹が何かを思い出す。
「飲み屋のねーちゃんから、妙な視線を投げかけられた覚えがかすかにある…」
「ほら…」
 まだジト目のあずさ。
「そんな話すると、変な視線されるのは当たり前だよ…」
「わかってるってば。オレとあずさが、社会的にちょっと問題のある付き合いをしてるのは」
 そういうと、あずさもちょっと悲しそうな目をする。
「でもなぁ、…好きになっちゃったもんはしょーがないだろ?」
「…うん」
「悪い大人だからな、オレは。あずさが大人になるまで待てなかったんだから」
 あずさの頭に手を置いて、博樹が話を続ける。
「でも、オレはあずさが好きなんだしな。だからこうやっているわけだろ?」
 手を背中の上に乗せて、すべすべと撫でる。あずさの顔が、くすっと笑う。
「あずさのお父さんやお母さんだって、認めてくれてるみたいだし、オレの事務所の人間も、逆に煽ってるくらいだし…。あ、あいつらは、まぁ、…他人事だけどな…」
「…へへへ、そうだね…。そういえば、石浦のおばさんも、なんだかちょっとだけ知ってるような感じだったよ」
「石浦のおばさん…? あぁ、石浦さんか…。あのひとも、…なんか世話好きでやさしいひとだもんな」
 博樹の家の隣に、石浦さんという、40歳くらいの夫婦暮らしの家族がいる。よくおかずを届けてくれたり、あずさがひとりの時は夕食に誘ったりしていると、博樹は聞いている。博樹自身も、けっこう世話になっているひとだ。
「ただの居候じゃないような感じだしな…。ま、ただの居候じゃないし」
「…うん、…わたしは、博樹おにいちゃんのお嫁さん、だよ」
「あぁ、そうだ」
「…えへへ」
 あずさが満面の笑みで笑ったのを見て、博樹はぽむぽむっと頭を撫でた。
「理解してくれるひとが多いってのは、けっこう幸せなことなんだよな」
「うん。……ありがたいよね」
 あずさがにこっと笑って言った。
「悪い大人だよ、博樹お兄ちゃんは」
「あぁ、オレは悪い大人だ」
 博樹がにっと笑って言う。
「博樹お兄ちゃん」
「ん?」
「キスして」
「あぁ」
 あずさをぎゅぅっと抱きしめて、唇を重ねる。長い長いフレンチキスのあいだ、博樹はいろいろと考える。ちっちゃなからだ、ちっちゃな唇、大きくなって来たとはいえ、まだ膨らみかけの胸。少女を愛してしまったことに責任を感じることはあっても、決して後悔はしていない。だから、きちんと責任を全うしなきゃな、と博樹は強く思った。
「…はふぅ、…博樹お兄ちゃん、…もっとして」
「あぁ、わかった」
 もう一度ふたりが唇を重ねあう。さっきよりも長い、長いフレンチキス。その中で、あずさも幸せを胸いっぱいに感じる。
 なんで博樹を好きになったんだろうと考えると、自分自身で困ってしまう。やさしいから? 博樹は決してカッコよくないから、カッコいいからでもない。いろいろ考えても、何でだろうと思ってしまう。でも、自分の思いを受けとめてくれた博樹が、あずさはなによりも大好きだと感じていた。愛している、なんて恥ずかしくって自分からはまだ言えない。けれど、自分の背伸びをしっかりと受けとめてくれた博樹に、あずさはものすごくうれしく思っている。
「幸せだよ…」
 博樹の体にぎゅっと抱きついて、あずさがポツリと漏らす。
「ん、そっか。幸せか…」
 はだかのままのあずさが暖かく、博樹も幸せを感じる。心の中まで暖まってくる感じだった。
 ふたりでベッドに横になる。あずさはまた、枕を抱きしめてうつぶせになる。その顔は、なんとも言えない幸せに満ちた顔をしていた。
「…。ん〜…」
 ふと、あずさのお尻に博樹の目が行く。
「なぁ、あずさ」
「なぁに?」
 うつぶせのまま、あずさが顔を博樹の方へ向ける。
「あずさのおしりって、かわいい形してるよな」
「うにゅ…」
 あずさの顔が、また赤くなる。
「そんな、恥ずかしいこと言わないでよぉ…」
「仕方ないじゃん。本当なんだから」
「ふにゅぅ…」
 顔を赤くして、ちょっと困ったような感じのあずさ。
「さっきまですごくロマンチックな感じだったのぃ…」
「あははは、…わるい」
 ロマンチックなのはいいんだけれど、博樹にとってはなんだかちょっとむずがゆかった。
「でも…、いいよ。博樹お兄ちゃんの好きにして」
 実際の所、あずさもまんざらではなかった。
「じゃあ、好きにさせていただきます」
 あずさの頭をぽむっと撫でて、博樹がお尻に手を乗っける。
 ちょっと小ぶりで、ぷくっと出たおしり。真っ白な肌にちょっと赤みがかかって、まさしく白桃。ふとももの、夏の焼けたあとが残っているせいもあって、あずさのおしりの色がより強調される。
「すべすべだな」
「えへへ…」
 おしりにほお擦りまでする博樹。なんというか、それだけすべすべでかわいい。
「あ…」
「ん? どした?」
「…博樹お兄ちゃん、…その、…していいよ」
 博樹、2秒思案後、指をおしりから秘部へと忍び込ませる。
「あんっ…」
 指先に、さっき拭いたはずの秘部がにっちゃりと濡れている感触が伝わった。
「おし、わかった」
 あずさの先走りに応えようと、博樹もやる気になる。
「あずさ、ちょっと…、おしり上げて」
「え…。…こ、こうでいいの?」
 うつぶせのまま、ひざ立てをしておしりをぐっと突き出す格好。けっこう本とかでよく見る体勢だが、あずさという女の子がそんな格好をしてくれているだけで、なんだかものすごくそそる。
「…うにゅ、…恥ずかしいんだよぉ…」
「ごめんな。…でも、すぐに気持ちよくしてあげるからな」
 ぷりん、とした小ぶりのおしりに、博樹がかぶりつく。
「あぅ、博樹お兄ちゃん。噛んじゃダメだよぉ」
「へへへ、ごめんな」
「桃じゃないんだからね…」
 でも、桃に見えない事はない。それだけ、見ていておいしそう。
「あっ…」
 赤く付いた歯型を、ぺろっと舐める。そのまま、まぁるいおしりを舐めまわす。
「なんか、…変な感じ…」
「気持ちよくない?」
「ちょっと気持ちいいよ…」
 顔を後ろへ向けて、博樹の姿を見るあずさ。博樹も、そうしてくれたほうがなんだか安心できる。
「おいしい?」
「うん、最高だ」
 ふたりが顔を合わせて、くすっと笑う。
「ひゃぁ…」
 突き出したおしりと、脚の間に見える割れ目はとりあえずおいて、その前にその上にあるすぼまった穴をぺろっとなめる。
「そこ違うよぉ…、博樹お兄ちゃん」
「いや?」
「いやじゃないけど…」
 と言うことは気持ちいいのだろう。博樹はまた舐め始める。
「はぁ…、あっ…」
 きゅっと引き締められたところは、ピンク色に染まっていて、小さな花のようにも見えた。
「ひゃ、あんっ…。そんなとこしなくてもいいよぉ…」
「いやか? オレは嫌じゃないけどな。いつもお風呂できれいにしてるもんな、あずさ」
「…う、うん…。博樹お兄ちゃんのために、いつもきれいにしてるんだよ…」
 汚いなんてちっとも思えない、あずさ。それよりも、女の子のにおいがして博樹としては幸せに感じる。
「ひゃ、…やだぁ…。なんだか…」
 あずさの秘部がひくひくと反応し始め、きらりと光る液も見え始めた。今度は、指でくにくにと押してみる。
「あん…」
「へへ、濡れてきてるね。気持ちいい?」
「うん、…なんか、思ったよりも気持ちいいかも…」
 顔だけ博樹の方を見て、あずさがいう。
「あ、…でもね」
「うん、なに?」
「その、…触ったり、舐めたりするのはいいけど…」
「うん」
「…い、…入れるのは、…その、…ちゃんと準備してからにしてね…」
「くすっ、…あぁ、わかってるよ」
 やっぱり、前準備なしで入れるのは反則だろう。というより、入れたらどうなるか、…だいたいの想像はつく。無理に入れたら、初めての時よりもひどい事になるだろう。というよりも、博樹にはそこまで強行する気はさらさら無い。
「博樹お兄ちゃん、…その、…そろそろ」
「ん…」
 秘部はまだ全然、舐めても触ってもいないのに、もう液が溢れ出ていた。
「うん、そうだな」
 博樹は、自分が横になると、あずさの体を持ち上げて上に置いた。
「今日は、あずさがしてくれるか?」
「…うん」
 あずさが博樹のモノに手を添えて、自分の秘部へと導く。そして、そのままゆっくりと腰を下ろす。
「あ、あふっ…」
 先っぽから奥まで、一気に飲みこまれる。
「えへへ…、きもちいい…」
「そっか、よかった」
 あずさが微笑んでいう。初めてのころとはまったく違う、自身もここちよさそうな表情。
「動くよ、博樹お兄ちゃん」
「うん、好きに動いていいぞ」
 あずさが博樹の胸に手を置いて、腰をあげる。そして、ゆっくりと下ろす。
「はふぅ…、はぁっ…」
 息を吐きながらその動きを繰り返す。最初はゆっくりだった動きが、だんだん速くなってくる。
「お、おい、あずさ…。大丈夫か?」
「う、…うん、大丈夫だよ…」
 あずさにしては、ずいぶん速い動き。肩まで伸びてきた髪を大きく揺らして、あずさが一生懸命に腰を動かす。
「ひ、博樹お兄ちゃんに、…きもちよく、…気持ちよくなってほしいんだもんっ…」
 そうは言っても、もはやあずさ自身も相当気持ちよくなっているのだろう。吐息のような淫らな声を上げて、博樹の上で踊りつづける。そんなあずさを見て、博樹もものすごく官能が高ぶる。
「ひゃ、あ、博樹お兄ちゃん…」
 博樹があずさの胸へと手を伸ばし、動きつづけるあずさの胸を親指で軽く触る。あずさが動くたびに、膨らみのてっぺんが親指でこすられる。
「見てるだけじゃ…、おもしろくないもんな…」
「あんっ、…博樹お兄ちゃん」
 あまりの動きの激しさに、博樹もあずさも限界が近い。
「ひ、博樹お兄ちゃん…、今日も、…中でいいから…」
「う、うん、…わかったぞ、あずさ」
 博樹も腰を動かし始め、仲の良いふたりのシンクロが始まる。もうリミッターが外れて、どこかへ飛んでいってしまいそうな、ふたりの動き。
「ひゃ、あ、あっ、あぁっ!」
「あ、あずさっ、くぅっ…」
 動きが最高潮に達した時、ついに頂点へと達した。
「…っ、あ、…はぁ…あ…」
 言葉にならない声を上げて、あずさが博樹の上でえび反ったままになる。そして博樹も、その中へどくどくと白濁液を飲み込ませていった。
「あ、…あずさ」
「博樹お兄ちゃん…、大好きっ…」
 博樹の上に重なり、あずさが体を抱きしめる。博樹も、そんなあずさをきゅっと抱きしめた。
「…くー」
「…くー?」
「くー…、くー…」
「…あ、…こいつ。…寝やがった」
 まだ後始末も完了してないのに、あずさは完璧に寝に入っていた。たぶん、あんまりにも激しい動きをしたため疲労が出たのだろう。
「ったく、…いたずらするぞ」
 とはいいつつも、あずさの寝顔を見る。とても、いたずらできるような顔ではない、幸せに満ちた女の子の顔だった。
「…しょうがねえなー。オレのお姫様は…」
 博樹はそうつぶやくと、とりあえずあずさをちゃんとベッドに寝かせてから後始末をはじめる。
「ふにゅっ…、…いたずらしちゃだめだよ、…博樹お兄ちゃん」
 秘部をティッシュで拭いてる間、あずさが寝言か本音か、そんな事を言ったが、またすぐに静かなかわいらしい寝息が聞こえた。たぶん、寝言なんだろうな、と博樹は思った。
「博樹おにいちゃぁん……、くー」
「…はいはい、わかったよ」
 後始末を手早く終えて、あずさの横に寝転がる。布団をかけてやって、あずさの髪をゆっくりと撫でる。
「かわいいやっちゃなぁ…」
 あずさの寝顔を見ているうちに、博樹もまたいつのまにか寝てしまった。
 寒くなってきた、10月も中旬のお話。


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